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第五十九話:二口女

解説:後頭部に大きな口があり、蛇のように伸びた髪の毛を使ってそこに食べ物を運ぶ妖怪。「絵本百物語」にも載っている。

●昔、或る母子がいた。実は女は継母で、継子を嫌って食べ物を与えず、ついには殺してしまった。その後、自分の子供が生れてから、子供の首筋の上にもう一つの口が出来て、食べ物を食おうとした。すると娘の髪の毛の先が蛇のようになってその口に食べ物を与え、また娘本人には何日も食事を与えないようにして苦しめたという。控え、慎むべきは女のそねみである。


二口女の話としては、こちらは聊かマイナーな気がする。皆さんが昔聞いた「二口女」の話は、おそらくこちらではないか。

●或る男がそろそろ嫁をもらおうと考えた。しかし男はひどくけちだった為、嫁にまで食べ物を食わせるのが嫌だった。そこで、飯を食わぬ女を探した。すると、なんとその条件に適う女がいたではないか。しかもその女は大層美人で、男との結婚にも積極的な意を表したので、男はその女と結婚することになった。
女は働き者で、約束どおりご飯粒一粒たりとも口にはしなかった。男は喜び、百姓仕事の時には安心して女に留守を任せた。こんな幸せな生活がしばらく続いた。

そんな或る日、男は妙なことに気付いた。米の減り具合が早いのである。男は一瞬、
「まさか女房が・・・」
と思ったが、朝も夕も、女は本当にご飯を食べてはいないのを、いつも一緒に居る男は十分に分かっていた。しかし、畑仕事で男が留守の時だけは、女の様子を見ることができなかった。そこで男は仕事へいった振りをして、窓の外からこっそり女の様子を窺った。
女はいつもと変わらなかった。しかししばらくすると、女は台所から釜を持ってきた。中には勿論ご飯が入っている。
「やはりあいつが・・・今追い出してもいいが、このまま見届けてからでも遅くはないだろう」
男はしばらく女の様子を窺っていた。すると女は髪を解いて、後頭部を男の方へ向けた。
「ひっ」
男は目の前の「それ」の、あまりの恐ろしさに腰を抜かし、その場に倒れてしまった。

何と女の後頭部に大きな口があり、また女の髪の毛が蛇のように伸びて、その口に飯を運んでいたのである。


私の聞いた話では、この後女の正体が山姥であることが発覚し、男は桶に入れられて山へ連れて行かれるが、山姥の目を盗んで桶から飛び出し、魔よけの効果のある菖蒲(しょうぶ)の茂みの中に逃げ込んで事なきを得るという流れであった。いずれの話も人間の愚行を戒めているのが面白い。


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