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第八十二話:恙虫

解説:童謡「故郷」の歌詞に「恙無しや友がき」という部分があるが、「友人は無事だろうか」という意味である。この歌からも分かるように、「恙無し」とは無事であるという意味なのだが、この言葉の由来こそが恙虫(ツツガムシ)である。
ツツガムシは実在するダニの一種であるが、この虫に噛まれると悪質な病原リケッチア(細菌やウイルスのような病原体の一種)が人間の体内に入り、ツツガムシ病という伝染病を引き起こす。ツツガムシ病は、かつては日本の中でも限られた地域でしか発生しない風土病とされていたが、現在では全国的な病気となっている。
治療法の確立した今でこそ死者は少なくなったが、昔はこの病気で死ぬことが多かった。その為、恙虫に刺されないことが即ち無事であることにつながり、「恙無い」という言葉が生まれたのである。

「絵本百物語」では、ハサミムシとクワガタとムカデの合体したような、奇怪な虫の姿で描かれている。斉明天皇の時代、「つつが」なる妖虫が現れ、夜な夜な人の生き血を吸った。その為、天皇が陰陽博士に命じてこの妖怪を封じたという。
また、新潟県のある村では、この虫は強盗の怨念から生まれた虫であるとされている。村を荒らしまわった強盗を捕らえ、それを生きたまま蚊などのいる茅の中へ投げ込んだ。強盗は虫に刺されて死んだが、その怨念が恙虫になったというのだ。信濃川流域では、恙虫は上の話のように、死んだ人間の念から生まれたとされることが多かったようである。


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