第五十二話:山地乳

解説:本によっては日本版吸血鬼として語られることもある妖怪。

この妖怪については、「絵本百物語」にその名が見える。山地乳の正体は偶然にも蝙蝠であり、それが野襖(むささび)となり、さらに年月を経て変化したものがこの妖怪である。
吸血妖怪と言われるのは、夜中に人の寝息を吸いに来るためであろう。その様は生き血を求めて夜な夜な寝床に現れる、ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」そのものである。
しかしここで西洋の吸血鬼とは少し異なる点がある。それは、もし山地乳の寝息を吸っている場面を第三者が目撃すると、息を吸われた人は長生きし、逆に誰にも見られなかった場合、その人は死んでしまうというところである。


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