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拾遺之二十三:あやかし

●「西国の海上に船のかかり居る時、ながきもの船をこえて二三日もやまざる事あり。油の出る事おびただし。船人力をきはめて此油をくみほせば害なし。しからざれば船沈む。是あやかしのつきたる也」(今昔百鬼拾遺)


●『怪談老の杖』では美女の姿として記述されていて、上の石燕の文章とは大きく異なる。石燕の言う長い怪物は「いくち」または「いくじ」と呼ばれるもので、『譚海』や『耳嚢』に見える。

●西海南海に「いくじ」というものがいて、しばしば船の舳先などに掛かることがある。
色は鰻に似ていて、またその身体も長く計り知れない。船の舳先へ掛かってから二三日ほどかけて延々と移動するので、長さは何十何百丈という限りの知れないものだという。「いくじなき」という俗諺があるが、ここから出た言葉なのだろう。
或る人が語るには、
「豆州八丈の海辺などには、このいくじの小さいものがいるという。これは輪になって鰻のようになるもので、眼口もなく動く。すると船の舳先へ掛かる類のものも、長く伸びて動くのではなく、丸くなって廻るものであろう」
ということだ。どちらが正しいのだろうか。勿論、他に害をなすものではないという。


●海に出現する未知の巨大生物を総称して「シーサーペント(大海蛇)」と呼ぶ。その正体は時折海蛇であると云われるが、目撃談にある多くのシーサーペントが身を上下にくねらせて泳ぐのに対し、海蛇は左右にうねりながら泳ぐので、シーサーペントが実在すると仮定しても海蛇の類ではないだろう。鰻にしてもまた同じことである。
この「いくじ」は石燕の画や『耳嚢』の解説などから、シーサーペントの泳ぎ方と同じと見て良い。すると「いくじ」はシーサーペントだったのだろうか。或いは、現存する魚か何かを、当時の人がそう呼んだだけなのだろうか。
妖怪現象を何でも未確認生物やUFOの仕業に結びつけることは危険だが、江戸時代、西国の海に未知の水棲動物が生息していて、船上の人々を脅かしていたというのは、それはそれで夢のある話ではないだろうか。


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