第十二話:茨木童子
解説:酒呑童子の家来である鬼。この鬼にまつわる話としては、一条戻橋(或いは羅生門)での渡辺綱とのエピソードが有名である。
平安時代、頼光の四天王にも数えられる豪傑・渡辺綱は一条戻橋において、自分を襲った鬼女の腕を切り落とした。実はこの鬼女の正体が茨木童子だった。
この一件で綱の名声は洛中に広まる事となったが、陰陽師・安倍晴明は、茨木がいつか腕を取り返しに来るだろうと言った。そこで綱に七日間の物忌みをするように助言し、誰が来てもあってはならないと強く言った。
しかしそんな折、渡辺綱の元に、綱の伯母が訪ねて来た。綱は誰ともあってはならないという晴明の言いつけを守り、伯母と会おうとしなかったが、伯母は情けのないことだ、と嘆いて泣き出す始末。流石の綱も、これには参ってしまい、仕方なく伯母を家の中へと招きいれた。
伯母は戻橋での綱の活躍を知っていて、綱に切り取った鬼の腕を見せろとせがんだ。綱が仕方なく鬼の腕を伯母に見せると、次の瞬間、伯母の顔は悪鬼の形相となり、腕を掴むと空へと飛び去って行った。