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第十四話:河童

●ここで解説するのも気が引ける程に有名な川の妖怪。

人々を川に引きずり込んでは尻子玉(肛門にあるとされた架空の臓器)を抜いて腑抜けにしたり、便所から手をだして尻を撫でたりする。時にはそれが人間の逆鱗に触れ、腕を切られることもあるが、秘伝の薬の調合法と引き換えにその腕を返してもらう場合が多い。
河童の話は日本津々浦々で聞かれ、その呼び名もエンコウ、ヒョウスベ、カワタロなど様々である。頭に皿、背中に甲羅、手には水かきという風貌で描かれている絵が多い。また「遠野物語」には人間が二代続けて河童の子を孕み、それらは悉く切り刻まれ、一升樽に入れられ土中に埋められたという話が載っている。

河童が狐狸のように化けるものだと言ったら意外に思われるかも知れないが、どうも昔から、河童も化けたり人に取憑いたりするものらしい。ここではそんな河童の化けようを良く表している話を、「怪談四更鐘」から取り上げようと思う。

●北国方の侍が、或る夜川へ釣りをしに出かけた。
ところが、その日に限って魚は一匹も釣れない。面白くないと思っていると、網にようやく手ごたえがあった。侍が喜んで網を引き上げてみると、それは木の根っこであった。
怒った侍は根っこを粉微塵に打ち砕き、それを川へ投げ込んだ。するとそこから火が焔焔と燃え出た。その中に恐ろしい顔があり、侍をはたと睨みつける。侍は網を捨てて逃げたが、それは後から追いかけてきた。漸く家に逃げ込んだものの、其の夜から侍はこんなことを口走るようになった。
「我はあの川に住む河童だ。あの川が殺生禁断だと知りながらお前が度々隠れて網を引いていたのを見て、我はこれを戒めようと思い、木の根に化けてお前の網に引っかかったのに、お前はそれを怖れず、我を散々に打ち殺した。恨めしいことよ」
するとそれが代官所にも伝わり、それがきっかけで侍は処罰されたということだ。


禁漁の川で魚を獲る武士も間抜けなら、木の根っこに化けてそれを戒めさせようとした河童も妙である。何故木の根っこなどに化けたのか、大いに謎である。




※上の「怪談四更鐘」の話は、「百鬼繚乱〜江戸怪談妖怪絵本集成」(近藤瑞木/編、国書刊行会)のものを底本に現代語訳した。


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