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第四十八話:メリーさん

解説:ある男が車を運転している時、誤って一人の少女を轢いてしまった。恐ろしくなった男は、少女をそのままにして車を走らせた。
翌日、男が起こしたひき逃げ事件は新聞にも掲載されていた。記事によると、男が轢いた少女はそのまま亡くなってしまったようである。
「どうしよう。俺は人殺しになってしまった」
男が不安げにそうつぶやくと、
「ぷるるるるるるるる、ぷるるるるるるるる」
電話がかかってきた。男は受話器を取る。すると、
「もしもし、私メリー。今あなたのマンションの前の電話ボックスにいるの」
そういって電話は切れた。少女の声だった。
「女の子!?そういえば俺が轢いた女の子の名前は・・・」
男が恐る恐る新聞に目をやると、そこには「メリー」の文字があった。
「誰かの悪戯か、しかしどうして俺がひき逃げ犯だと分かったんだ?目撃者がいたのか」
男の不安はますます募っていった。その時、
「ぷるるるるるるるる、ぷるるるるるるるる」
再び電話がかかってきた」
男は恐る恐る受話器を取る。
「もしもし、私メリー。今あなたのマンションの一階にいるの」
電話は一方的に切れた。すると暫くしてまた電話がかかってきた。
「もしもし、私メリー。今あなたのマンションの二階にいるの」
また電話は切れた。そうして暫くすると、またかかってくるのである。
「もしもし、私メリー」
男は頭にきて、
「おい、いい加減にしろ!」
と大声で怒鳴った。しかし少女の声は動ぜず、
「今あなたのマンションの三階に着いたところよ」
と一言言って電話を切った。
「三階だって!?」
男の部屋は、マンションの三階にあるのだ。もしかして本当のメリーさんが来たのかと思い、先ほどの不安は僅かに恐怖に変わっていった。すると、
「ぷるるるるるるるる、ぷるるるるるるるる」
男は受話器を取る。
「あんた何なんだ!いい加減にしろよ!」
「もしもし、私メリー。今あなたの部屋の前にいる・・・」
メリーさんの声を全て聞く前に男は電話を切り、玄関を確認に行った。ドアを開ける・・・
「いない。やっぱり悪戯だったのか」
男がほっとしたつかの間、
「ぷるるるるるるるる、ぷるるるるるるるる」
「はい」
「もしもし、私メリー。今」
「今?」


「今あなたのうしろにいるの」



上の話は都市伝説に興味のある人なら聞いたことがあるだろう。この他にもリカちゃん人形が電話をかけてくるパターンなどがある。話は「あなたのうしろにいるの」という台詞で唐突に終わる場合が殆どで、このあと本当にメリーさんがいたのか、また男がどうなったのかは言及されていない。
それにしても、日本の話なのに「メリーさん」という名が当たり前のように出てくるのも何処か奇妙である。この名の由来が「メリーさんのひつじ」からなのか、それとも横浜に実在した「白いメリーさん」からのものなのか、或いはそれ以外の何かなのかは私には分からない。
【参考:「学校の怪談」(常光徹 著/講談社)、:「魔女の伝言板」(近藤雅樹他 著/白水社)】


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