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第四十話:轆轤首

解説:「飛頭蛮」とも書く。轆轤首には二種類あって、一つは見世物などでも御馴染みの首が伸びるタイプ、もう一種類は「南方異物志」に見えるような、首が抜けるタイプである。小泉八雲は「怪談」に後者にまつわる話を載せている。ちなみに轆轤首になる人間は、首の周りに環状の痣があるとされ、香川県大川郡では、そういう女は嫁にもらうなといわれていたそうだ。
首の抜けるタイプの飛頭蛮だが、「曾呂利物語」にこんな話が載っていた。

●越前(今の福井県東部)の北の庄というところで、ある者が上方に向けて夜も懸けて上っていた。すると、沢谷というところに大きな石塔があるのを見つけた。その下から鶏が一羽飛び出し、道に着地するのが見えた。しかし、月光に照らしてよくよく見ると、なんとそれは女の生首だった。首は男を見て不気味に笑う。男は動じることなく、刀を抜いて切りかかると、生首はそのまま道筋を変えて、上方から来た。首を追うと、府中の町上比志というところまで来たところで、首はある民家の窓へ入っていった。
男は不思議に思い、すこし休んでから中の様子を聞いていると、女房の声で、その家の旦那を起こしている。
「ああ怖かった。先ほどの夢の中で私、沢谷野を通っていたのですけれど、一人の男が刀を持って襲ってきたので私も逃げたのです。そうしてここまで逃げ切った、と思った途端に夢が覚めました。まったく汗でびっしょりですよ」
と大きく息をついて語った。
門のところでそれを聞いていた男は戸を叩き、
「真に失礼なことを申しますが、知らせておきたいことがあるので開けて頂きたい」
と頼んだ。中に入れてもらうと、
「今あなたを追いかけたのは私です。さてはあなたは人間でしたか。罪業の程、何とも嘆かわしい事です」
といって出て行った。女も自分の身を嘆き、
「自分がこんな有様では、夫に付き添うのもつらいことです」
と言って京へ上り、北野真西寺に籠もって一生を過ごした。実に珍しい事件である。


この話のように、首の伸びている(或いは抜けている)間のことは、当事者は夢の中の出来事として憶えている場合が多い。さながら幽体離脱の類か。


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