第五十五話:平将門

解説:平将門は桓武天皇の子孫である平家の武士。
将門は延喜三年に生れたといわれている。祖父は高望王。平安時代、将門は検非違使になる為、父・良将の残した土地を叔父・国香に預けて上京する。しかしその夢は果せずに関東に戻るも、将門の上京中に叔父らによって、これらの土地を勝手に奪われてしまっていた。土地を廻る平氏の争いは続くが、将門は国香を殺し、その後関東一帯を制圧する。
その後天慶二年(939)、或る一人の巫女が、自分を八幡大菩薩の化身だと名乗り、将門に天皇の位を授けると言った為、それを知った将門は自らを「新皇」とし、下総の国(茨城)を拠点に関東の一大勢力となった。これを危惧した朝廷は将門討伐を検討し、将門を倒した者を貴族にするという御触れを出した。
その後、将門は国香の子息である平貞盛と、大百足退治で有名な藤原秀郷(俵藤太)によって討たれた。将門の首は京に運ばれ、さらされたが、その首はいつまで経っても腐敗せず、遂には無き胴体を探して関東まで飛んでいった。そして現在、「将門の首塚」として有名な、東京の大手町に落下したという。

さて、この将門の首塚だが、千年ほど経た今でも崇りがあるとして怖れられている。関東大震災の後に大蔵省の仮庁舎を建てようとしたところ、関係者に不幸な事故が続発し、また太平洋戦争の後、連合国軍総司令部がこの辺を造成しようと工事を進めたところ、不審な事故が立て続けに起こったために、工事は取り止めになったという。
今日も将門の首塚は、大都市東京の真ん中で不気味な空気を放っているのである。


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