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拾遺之ニ:青五輪

●「老媼茶話」に見える話である。朱の盤にしろ舌長姥にしろ、そしてこの青五輪にしろ、この本に出てくる妖怪達は、バラエティ豊かでかなり魅力的である。

●南山街道飯寺村、道端右の方の田の中に大壇があり、その塚の上に大榎があった。
「慈現院壇という山伏が生きながら入定したところなので、俗に慈現院壇という」
というのは昔からこの村にいるものの話である。今も深夜になると、塚の中からほら貝を吹く音が聞こえるという。
この塚の東向かいに青五輪という五輪塔があった。この五輪は夜な夜な化け、慈現院壇から青五輪まで一面に鉄の網を張り廻らせ、往来の人を妨げていた。
或る夜更け過ぎ、南山の者がここを通り過ぎると、六尺ほどの大山伏と黒入道が口から火を吹きながら鉄の網を張っていた。その網の中には児法師や女童の首が幾つも掛かっていて、男のほうを見てにこりと笑う。
しかしこの男、生来大胆な性格で、これを見て走りかかると大入道の脳天をしたたかに切りつけた。手ごたえはあり、網も山伏も入道も皆消えて、深夜の闇となった。

夜が明け、例の男は昨夜化物に出会った道へ行った。よくよく探し見てみると、青五輪の頭を半分切り砕き、血の色が少し見えていた。ここから、五輪を切った刀を「五輪くだき」と名付け、秘蔵したという。


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