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拾遺之二十九:隅の婆様

●「隅の婆様(すまのばさま)」とは、江戸時代にあった一種の降霊術のこと。そのやり方はこうである。
まず夜中に四人で寺へ行き、部屋の四隅にそれぞれ一人ずつ座る(この時部屋の中は暗闇)。そして四人一斉に部屋の中央にあつまり、それぞれの頭を「一隅の婆様」「ニ隅の婆様」と言って触っていく。すると、四人しかいないはずの暗い部屋の中に、五人目がいるという。


「隅の婆様」などと言われても、ぴんと来ぬ方の方が多いだろう。だが、こちらの怪談は多くの人が知っていると思う。

●五人の登山家が雪山で遭難した。
吹雪が容赦なく五人を襲う。食糧は底を尽き、五人は既に限界だった。そしてとうとう、仲間の一人だったEが死んでしまったのである。四人になったメンバーは、その男の死体を運びながら、一時的に避難出来る場所を探し歩いた。
すると幸いにも、前方に山小屋が見えたのである。
「やったぞ!」
皆歓喜した。そして疲れと寒さも忘れて駆け出した。
しかし安心してもいられなかった。食糧は既にない。また吹雪だけは避けることが出来たものの、この山小屋も無人であり、中は凍えるような寒さだったのだ。四人はここで夜を過ごし、捜索隊が自分達を発見してくれるのを待つことにした。
「いいか、眠ったら終わりだ。寝てはいけないぞ」
四人は互いに言い聞かせた。しかしマッチもランプもないこの暗闇の中、黙ってじっとしているだけで眠くなってしまう。
「何か身体を動かしていれば、眠気ざましになるかも知れない」
Aが言う。するとBが、
「そうだ、俺にいい考えがある!」
と言って、こんなゲームを提案した。

そのゲームとはこうだ。
まず、死んだ仲間の亡骸と荷物を中央に置き、四人がそれぞれ一人ずつ部屋の四隅に着く。次にAが壁伝いに移動して、隣の角にいるBの肩をたたく。叩かれたBは同様にして、壁伝いに次の角へ行ってCの肩を叩く。またCも・・・というように、部屋の中をぐるぐると廻るようにしてお互いの肩を叩いていくのだ。

何回部屋を廻ったことだろう。
既に夜は明け、美しい朝日が山小屋の窓から射した。
A「おい、皆生きているか」
B「ああ」
C「俺も」
D「俺も大丈夫だ」
あのゲームを続けていたおかげで、皆眠ることなく、一命を取り留めていた。そしてこの後、四人は無事捜索隊に救助され、事なきを得たのである。


●めでたしめでたし・・・と行きたいところだが、良く考えて欲しい。この話、何処かおかしくないだろうか?
知っている人にはつまらぬ話であるし、知らない人にも何がおかしいのか考えて欲しいので、答えは敢えて書かないことにする。


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