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拾遺之二十六:雲外鏡

●「照魔鏡と云へるは、もろ/\の怪しき物の形をうつすよしなれば、その影のうつれるにやとおもひしに、動出るままに此かがみの妖怪なりと、夢の中におもひぬ」(百器徒然袋 下)

●おそらくは石燕の創作妖怪。
古より、鏡には霊力が宿ると信じられ、様々な宗教的儀式に用いられてきた。石燕の文に見える「照魔鏡」とは、魔物を照らし、その正体を見破ることの出来る鏡である。この雲外鏡は、そんな神聖な道具が付喪神化したものなのであろうか。

霊力が宿るためだろう。神聖化される一方で、鏡は人々の畏怖の対象でもあった。とりわけ、上記のような「神聖な道具としての鏡」が忘れ去られた現代では、鏡にまつわる多くの怪談が生まれた。学校の怪談には、鏡にまつわるものが数多く存在するが、ここではその代表的なものを一つ。


●真夜中に剃刀を咥え、洗面器一杯に張られた水面を覗くと、そこに未来の結婚相手が映るという。

ある夜、一人の少女がその噂を確かめようとした。
深夜、風呂場に行き、口に剃刀を咥えると、水の入った洗面器の中を覗いた。すると自分の顔が映るはずのその水面に、なんと知らない男性の顔が浮かび上がったではないか。
少女は驚いた。そしてその拍子に口に咥えていた剃刀を落としてしまった。剃刀が水中に没すると、気味の悪いことに水面が赤く濁った。再び驚いた少女は洗面器の水を捨てるやいなや、部屋へと駆け出した。

十数年後、少女も大人の女性となった。
あの日の記憶は中学、高校、大学での楽しい思い出に追いやられ、また近頃の仕事の忙しさの為に、完全に記憶の彼方にあった。
そんな或る日、女性に縁談が持ち上がった。相手の条件を気に入り、また相手も彼女に会いたがっていた為に、女性はお見合いを受けた。
会って見ると、相手の男性は優しそうな良い人だった。しかし風邪を引いているのか、口には大きなマスクをしている。
「こんな席でどうしてマスクなんか」
彼女は気になったが、風邪が治ればマスクを外すだろうと思い、二人は次のデートの約束までした。

一週間後、二人はデートをした。ところが、男性は一週間経ったにも関わらず、相変わらずマスクを付けてやってきた。女性は言った。
「あの、デートの時くらいマスクを取って頂けません?」
すると男は、
「何を見ても怖れないで下さい」
と言うや否や、その大きなマスクをはずした。
「はっ!」
彼女は息を呑んだ。男性の頬には、刃物で切り裂かれたような、痛々しい傷があったのだ。彼女は思わず、男性に聞いてしまった。
「そ、その傷どうされたんですか?」
すると男は一言、


「お前にやられたんだ!」



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