拾遺之十八:油ずまし

●日本を代表する漫画家・水木しげるの妖怪関連での功績は数多いが、昔から知られていた鳥山石燕の妖怪画を自身の漫画に取り入れ、現代に紹介したということの他に、名前だけだった妖怪に新しく姿を与えた、という功績も無視出来ない。
漫画「ゲゲゲの鬼太郎」では、鬼太郎に味方する妖怪の多く(一反木綿、ぬりかべ等)は水木しげるオリジナルのデザインによるものだが、ここで紹介しようと思う妖怪・油ずましもまた、水木しげるの考案したデザインのものが現在主流となっている。有名のあまり説明もいらないかも知れないが、石のような点描の頭に蓑と杖という、如何にも妖怪らしいいでたちの妖怪である。

妖怪「油ずまし」についてはその知名度に反して、その実体はあまりよく知られていないが、下の話とともに語られることが多い。

● 肥後国(今の熊本県)天草島の草隅越という道には、油ずましなる妖怪がいた。
ある時この道を歩いている折、老婆が孫にこの妖怪の話をした。
「ここには昔、油瓶を提げた化物が出たそうじゃ」
するとどこからともなく、
「今も出るぞお」
と言ってこの妖怪が現れたという。



●「すまし」というのは天草の言葉で「搾る」という意味らしい。現地で作られていたサザンカの油「かたし油」に関係のある妖怪なのだろうか?
冒頭でも説明したように、油ずまし水木しげるの描く蓑を着て杖をついた、石のような頭を持つ姿が有名な妖怪だが、河童や天狗などと違い、あまり伝承の伝わっていない謎の存在だった。
ところが最近、この妖怪に関する新たな発見があった。なんと、油ずましの墓なるものが見つかったのだ。今後、この妖怪についてますます多くの発見があるかも知れない。


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