拾遺之二十四:泥田坊

●石燕の創作妖怪か。
『今昔百鬼拾遺』には、一眼に三本指のゾンビのような妖怪が描かれているが、これが泥田坊である。泥田坊についての記述は、同書に書かれた石燕によるものしか存在していない。


●昔、北国に一人の老人がいた。子孫のために僅かばかりの田地を買い置き、寒暑風雨に負けることなく、日々の耕作を怠らずに励んでいた。
ところがこの老人が死んだ後その息子は酒びたりになり、農業に励むことがなかった。そして遂にはこの田地を他人に売り渡してしまった。
それから夜になると眼が一つある黒いものが現れ、
「田を返せ、田を返せ」
と叫んだと云う。これを泥田坊という。

●多田克己氏によると、泥田坊の画は新吉原、つまり遊郭を表しているという。興味のある方は雑誌『怪 3号』などを読んで頂きたい。


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